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風の吹くまま気の向くままの生活雑記
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 マチネ観劇。
 タイトルを見た瞬間、まず「イロモノくせーw」と思い、まあそれでも中川あっきー出てるなら観に行ってみるかなあと軽い気持ちでチケットを取ったら、楽前の土曜マチネでもセンターブロック取れてびっくりw;
 話は「実は信長は女だった。何故彼女は天下を目指し、そして本能寺に死んだのか」から始まるんですが、蓋を開けると、どこの逆ハー物18禁乙女ゲーですかなシロモノでしたw 

 以下長い&ネタバレなので畳みます。

 はじめは信長様は家臣の前では「男」で通しているのかと思いきや、周囲の人間には女であることバレバレで、必要とあらば己の美貌を武器にカラダで周りの男どもをたらしこんで、自分の野望=「女子供が虐げられない天下泰平の世を築く」を実現しようという大変、漢前なおひとw
 まずは美濃の齋藤道三に処女と引き換えにバックアップを取り付けさせて、信行との家督争いのときは柴田と寝て味方へ引き込み、道三死後は浅井長政と恋仲に。その長政に裏切られてその辺りから「織田信長」と「女である、おちょう」の自分とに信長の心は引き裂かれていき、長政に開けられた心の穴を光秀で埋めようとする。はじめは「男も女もない泰平の世」と「その天下のために邁進する信長」に惚れて、二人の関係は、少なくとも表向きは志を共にする盟友同士だったのがやがて男女の仲になり…「織田信長」で在り続けられず、ただの「女」に戻りたい信長は、朝廷に無茶な戦を仕掛けようとしたところ、本能寺で更に無茶な戦を仕掛けた光秀に止められる。
 体を張って止めてくれたこれが光秀の愛だ…ということを噛み締めて、ただの女として落ちのびる信長。光秀は天海と名を変えて、その後の豊臣~徳川に到る世の流れを見とどける。ざっとそんな話。

 信長が女だってことで、「女」ならではの作戦として鉄砲の多用とか、三間半の槍とかを使用した、という解釈にほー、とか感心してたんだけど、長政との恋におぼれて結局、「もう天下などどうでもいい」になっちゃうのはやっぱいただけない。最後の「わがままを言って何でも受け止められて、守ってもらって、惚れた男に尽くすのが女子の幸せだ」なんてこといって光秀の胸にすがって泣いて終わりってのは――やっぱ男性原作者の限界ということですかね。別に私はフェミでもなんでもないですが、この述懐は、「女」って言うよりかは「無責任な子供」でありたかったというように聞こえるんだけど。「女子供」で一緒くただからいいってことなのか? っていうかそこは「女」で一般化するところじゃなくてせめて「私」という一人称で言ってくれ。そしたら「男目線の"女"像を越えたくて、でも越えられなかった」キャラとして普通に同情はできたろうから。それで「女子供に手を出すな」という光秀に助けられて生きながらえた「おちょう」の背中を見送り、其の後の天下の推移を見守った光秀の愛情と失望とに思いを馳せて味わい深いエンディングになっただろうになー。
 「女」を特別な属性として強調しようというのは判るけど、「乱世に虐げられる女」の図としてやたらレイプネタ(未遂・セリフ含む)が出てこられると、こっちも女なものでげんなりしてしまうなあと思ったり。演出家の人はつか系みたいだからああいうの出したがりなのかな。うへ。

 ストーリーは微妙に肌に合わない気がしたが、昔のいのうえ歌舞伎を思い起こさせる、ロックあり、チャンバラあり、しょうもないギャグありでなかなか面白かったです。東京楽近いせいか、役者さんは皆さん熱演でよかった。緊迫したシーンで何度もゾクゾクして鳥肌たった!
 一部熱演のし過ぎで声完全に潰れちゃって、何言ってるか判んない人も少なくなかったけど。というか光秀・家康・長政以外の男性陣は割とそんな感じ。特に伝令役の人とか最悪。割れた声を更に張り上げてしかも早口なもんで、状況から内容は察せられるが、半分はただの騒音。腹から声出せ! ボイトレしろ、ボイトレ! というか青山劇場のサイズなら皆マイク使ってるだろうから声が割れるほど張り上げなくてもよかろうに。
 光秀中川君はさすがの鋼の喉っぷりで低く抑えめくぐもり気味の声ながら、発声きっちりはっきり。マイク慣れもしてるよな。しかし歌担当は彼だけなのね。甘いシーンで突然雰囲気盛り上がって歌いだされても、ミュー慣れしてる観客でもちょっと違和感を禁じえないw; だからといって、これで中川君から歌を取ってしまうと、彼の価値は半分以下になってしまうので、もう少し周りも歌えば良かったのになー。黒木さんが長政を誘惑するシーンでいきなり♪「下駄ッ下駄ッ下駄ッ バ~ニラ~」とDesireが流れたときにはイスから落っこちそうになりましたがな(;´Д`)
 黒木信長もカッコよかった! 立ち回りの切れもいいし、大変テンション高くエモーショナル。次、どう反応するかわくわくしながら見てました。あと歌ってくれたらよかったのになー。歌NG?
 山崎家康は基本ナレーションであんま本筋に絡んでくれなかったのが勿体無い。2幕のラスト近くが唯一見せ場?いい感じに空気作ってくれる存在感でよかったな。
 石田道三は…なんというか斬新なキャラだ。あんな気弱そうで蝮がつとまるのか(;´Д`) 女だてらに天下を目指す信長を面白がって背中を押して、しかしその結果、苦しむことになった信長を心配してあの世から夢枕に立って助言したり慰めたりしてくれるいい人だw こういうところはキャラ合ってる感じなんだけどな。どうでもいいけど微妙に江森三国志を連想してしまったのはこの人のこの演出の所為だと思うw; 惜しむらくはなんかこー芝居が浮いてるというか「コスプレした石田純一」の域を出てない感じだったことかな。って致命的じゃんねw;
 長政のキャラ解釈もやっぱり斬新。基本的に長政って白キャラ解釈されるようなので。信長を利用して、彼女を踏み台に天下に君臨しようとする腹の黒い人はなかなか見ない。徹頭徹尾いやなヤツで良かったです。

 あと、照明さんがいい仕事をしていた! 時々観客席側の壁や天井にも光を当てて、舞台空間を広く見せたり、カーテンコールのとき、緞帳が上から下りてくるのと連動して客席側も天井から暗くなっていくようにしたり。こういうのあんまり観ない(ほとんどの場合、照明は緞帳の向こうとこっちはテレビ画面の向こうとこっちみたいに別空間化したままだし)ので面白いことやるなあと思ったり。あれ、日生とかだったらまた雰囲気変わって面白そうだ。
 舞台装置もシンプルで良かったなー。映像も多少使うけど、あくまで「背景」の域を出ない。天井空間が広々として、それが大変「舞台」な感じで、また、いかにも「地を這う人間の物語ですよ」って気がして良い。

 カーテンコール4回。3回終わってやれやれで客が帰り始めたところで幕を上げてスタオベを稼ごうとするのはあざといと思いますw

 なんだか新感線の97髑髏が観たくなったなあ。ビデオどこしまったっけ…。

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