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風の吹くまま気の向くままの生活雑記
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 5回に1回はタイトルを「ジェネラル・ルージュの"伝言"」と間違えるw

 チーム・バチスタシリーズの3作目。今回は前作「ナイチンゲールの沈黙」の裏で進行していたもうひとつの事件、という設定で展開。「沈黙」のほうで何だか思わせぶりに名前だけ出てきた「氷姫」も登場(本編中での活躍はそんなになくて顔見せというか次回以降へのアリバイ作りみたいな登場だけど)。主人公・田口医師はこっちの事件と二股してたんで影薄かったのね。

 今回の事件の発端はある日リスクマネジメント委員会委員長の主人公宛に送られた、特定の医師と業者が癒着&収賄を告発する告発状。
 んじゃ、今回はその事の真偽をあれこれする話なのかと思いきや。
 告発された医師はあっさり告発の内容を認め、「じゃあなんでそんなことしたのか」と「で、処分はどうする?」というのをあれこれ論ずるのが主眼のどっちかいうとちょっとヒネった法廷もののような趣のお話。「医療」に「独立採算制」の経済観念を持ち込むことの是非とか、救急医療如何にあるべきか、あたりが今回の主張の主眼。
 そこに大学病院のお医者さんとか看護師さんたちの派閥争いみたいなの絡んで伏線になっていくと。ミステリっぽい部分があるとすれば「誰が医師を告発したか」の部分。これはなかなか意外で面白かったw


 主な対立軸として主人公vsエシックスコミティ(倫理問題審査委員会)というのがあって、このエシックスが収賄問題に関する「審査」をするのが前半の1つのヤマ。ここの委員長がとっても嫌味なお人で(かつ派閥争い的な意味で主人公には最初から反感ありあり)、いやもう読んでるだけですっごい苛々するw こういうディティールの書き方は上手いよな~(*´∀`) 

 でもって、告発される側の医師、速水先生はエライ格好良い。
 救急外来の外科の先生で超仕事のできる切れ者。でも事務仕事は苦手っていうか現場第一主義であだ名は「スピードスター」「ジェネラル・ルージュ」。…毎度のことだけど大学病院手こういうあだ名というか二つ名つけるの大好き文化圏なのか…?w;
 救急外来の担当だけあって、まどろっこしいことは大嫌い。患者の処置に必要ならば病院内の階級だの指示系統など平気で吹っ飛ばすタイプ。実際過去に大事故で大量搬送された患者を捌くのに不在の病院長の許可もぎ取って病院全部を指揮下に置いてその場を仕切ったということもあり(で、その采配が見事だったので「将軍(ジェネラル)」なんだそーで)、部下や看護師にはちょっとしたカリスマだがお偉方には煙たがられているという立場。
 適度にケレン味もあって、エシックス委員会に呼び出されたとき、少々遅れて委員の人たちがイラッとしかけたところへ「急患が入って遅れましたー」と返り血のついた白衣翻して入ってきて、中の人たちの度肝を抜き、咎められると、「着替えて余計遅れると却って失礼かと思って」とかしゃあしゃあと言い返す辺りけっこう好きだ。
 こんだけ受けのよさそうな描写したからには容赦なく叩き落とすのかなあ…と邪道な読みをしましたが、よく考えたらタイトルが「凱旋」なんだから、それはないか(さらに邪道w)。もしも「伝言」だったらきっと落ちはTVの2時間サスペンス的な崖っぷちから飛び降り自殺だったかもしれないがw

 当の速水医師、告発への対処も「事実です。じゃあ辞表出すから後はよろしく」ってな感じであっさりさっぱり。もう本人引退する気満々で公認推薦&「口頭試問やるから来い」とかいっちゃう。
 エシックスも毒気を抜かれた態で、結局最終ジャッジは田口医師の手の内へ。ううんビンボくじ体質w

 その後紆余曲折あって、速水医師は北の大地の病院へ転勤、ということに相成りますが、はたから見たらただの左遷でも、長年連れ添った婦長さんと手に手をとっての道行きは、タイトルどおり「凱旋」なんでしょうね(*´∀`) 


 そういやまたコレも映画になるそうで。映画キャストは田口医師が女性キャラになってるのがイマイチかなあ。 
 さらに映画と連動した企画本で「ジェネラル・ルージュの伝説」ってのが出てるようですね~。例の「ジェネラル」と呼ばれるきっかけの事件の話だとか。速水医師は作者のお気に入りなんでしょうか。

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