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読了。
この人の作品は「たった一つの冴えたやりかた」と「星々の荒野から」が既読。
中短編でもずっしりくる作品ぞろいの作家の長編と来たら、とんでもない重量級なのは必至。それで購入から読みはじめにちょっと間が空いたわけですが、職場移って通勤時間が長くなったこともあり、やっとこ開いてみました。
作者がティプトリーJrな時点で「大団円」とか「爽やかな読後感」なんて期待しちゃいませんが、むしろある種の覚悟と共に読み進めておりましたが、それでもこれはなんというか、エグイ。
一見のどかな辺境の惑星、異形の美を持つ異星人、異星人にまつわる血の惨劇の昔語り。そしてその星を訪れる旅行者達。彼らが見に来るのは砕けた別の星の拡散する光の波。
道具立てからしてなんともアンニュイなほの暗い気配を漂わせておりますが、そこに繰り広げられる事件はほの暗いというよりは陰惨といったほうがいいようなシロモノでした。…スプラッタ苦手(;´Д`)
助手の女の子(リニー)が首からクモ型の毒薬注射器むしりとって大出血とか、異星人が分泌する体液を搾り取るためにその異性人の子供拷問にかけて指一本ずつ切り落とすとか、帰りの電車で読んでて貧血起こしそうになりました(満員電車の人いきれが悪いんだっつー話もある)。惨劇が一気に凝縮して発生するのも、その場面の印象付けの一因かもとも思う。
その後の時間揺動のくだりなんかとてもSFでおとぎ話的で美しいシーンのはずなのにそれでも血のにおいの印象ぬぐえてないしな。ところでニイイルの野辺送り(?)の描写がなかったのはちょっと残念だなあ。
解説でこれはミステリの「吹雪の山荘もの」を踏襲してるんだとかありましたが、ミステリの連続殺人は結構平気なのになー。こっちのほうが登場人物における死者の割合は少なそうなのに、重い感じなんだろう。
ティプトリーの短編は、決してハッピーエンドじゃない、むしろうつむき加減に「そういう話だったのよ」と静かに言って苦く笑う、みたいな結末でも、そこにひんやりと透明な綺麗な何かがあって好きなんだけど(「たった一つの~」とか「たおやかな狂える手に」とか)、この長編に関してはそれが余り感じられなくて残念。
ヒロインの最期のくだりはその要素があるんだけど、その他の残された人物達の、あるいは人物たちについて思うことどものほうに引きずられて濁ってしまったかな。
この人の作品は「たった一つの冴えたやりかた」と「星々の荒野から」が既読。
中短編でもずっしりくる作品ぞろいの作家の長編と来たら、とんでもない重量級なのは必至。それで購入から読みはじめにちょっと間が空いたわけですが、職場移って通勤時間が長くなったこともあり、やっとこ開いてみました。
作者がティプトリーJrな時点で「大団円」とか「爽やかな読後感」なんて期待しちゃいませんが、むしろある種の覚悟と共に読み進めておりましたが、それでもこれはなんというか、エグイ。
一見のどかな辺境の惑星、異形の美を持つ異星人、異星人にまつわる血の惨劇の昔語り。そしてその星を訪れる旅行者達。彼らが見に来るのは砕けた別の星の拡散する光の波。
道具立てからしてなんともアンニュイなほの暗い気配を漂わせておりますが、そこに繰り広げられる事件はほの暗いというよりは陰惨といったほうがいいようなシロモノでした。…スプラッタ苦手(;´Д`)
助手の女の子(リニー)が首からクモ型の毒薬注射器むしりとって大出血とか、異星人が分泌する体液を搾り取るためにその異性人の子供拷問にかけて指一本ずつ切り落とすとか、帰りの電車で読んでて貧血起こしそうになりました(満員電車の人いきれが悪いんだっつー話もある)。惨劇が一気に凝縮して発生するのも、その場面の印象付けの一因かもとも思う。
その後の時間揺動のくだりなんかとてもSFでおとぎ話的で美しいシーンのはずなのにそれでも血のにおいの印象ぬぐえてないしな。ところでニイイルの野辺送り(?)の描写がなかったのはちょっと残念だなあ。
解説でこれはミステリの「吹雪の山荘もの」を踏襲してるんだとかありましたが、ミステリの連続殺人は結構平気なのになー。こっちのほうが登場人物における死者の割合は少なそうなのに、重い感じなんだろう。
ティプトリーの短編は、決してハッピーエンドじゃない、むしろうつむき加減に「そういう話だったのよ」と静かに言って苦く笑う、みたいな結末でも、そこにひんやりと透明な綺麗な何かがあって好きなんだけど(「たった一つの~」とか「たおやかな狂える手に」とか)、この長編に関してはそれが余り感じられなくて残念。
ヒロインの最期のくだりはその要素があるんだけど、その他の残された人物達の、あるいは人物たちについて思うことどものほうに引きずられて濁ってしまったかな。
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